あずきと夜のテラスを散歩
冬もどりで ちょっと肌寒いけど
ひさしぶりの夜のテラス
群青色のそらには
日の名残りがうっすらとかかって
星は数えるほど
街の音はこのあたりには
あまり届かず
孤独でもなく、煩わしくもなく
ほどよい静けさの夕べ
テラスでは、あずきは一目散に
ニンジン君のもとへダッシュ
さんぽで楽しみにしている
ウサギのオブジェだ
幾度となく ほほをすりよせて
ご満悦
あずきをそっと抱き上げて
背中を擦ってあげながら
顔を近づけると
温かい舌先で鼻を舐めてくれる
あずき、おまえの舌って 熱いよ
南の空には
おぼろげだけどオリオン座
星をなぞってみる
大きな四つ星を結んで長四角
その真ん中あたりに並んだ 三つ星
ゆっくりと 大空をたなびきながら
こちらを見下ろしているよう
子供の頃から、大好きな星座
大きな星座だ
あずきのルビー色の瞳に 夜の町灯り
まるでちいさな星空だ
瞳のずっと遠くまで
小さなそらが 拡がっている
あずき、オリオン座の三つ星は
1000年の時間かけて
ゆっくりとここまでやって来たんだってさ
1000年だぜ、あずき
想像できるかい
毎日毎日せっせと生きながらえている
僕らの時のスケールとは 違いすぎるよ
あずきの瞳の中の
どこまでも どこまでも
深く深く 澄みわたった
ルビー色の美しい世界
このオリオン座の流れていく星空とおんなじように
ゆったりと、やさしい時が流れているのかな
あずきが腕の中で身体を動かす
抱っこに飽きたから下してって、さ
ニンジン君のもとへと駆けていくあずき
おいおい、そんなに慌てるなよ
ゆっくりゆっくり 進もうぜ
あずきが足元でこっちを見上げている
なにをぼーっと考え込んでるのって 言いたげ
そういえば、あずきの誕生日忘れていたなと、
ふと思い出したんだ。
うちに来て1年 もう1年たったんだなって
なにげに思い出したんだよ
1年だぜ、あずき
想像できるかい
飼い主 のんびりしすぎだな あずき
あずきとふたりきりのテラス
あずきが駆け回る音が
冬の小夜の静けさのなか やさしく響いている
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